肝臓内科
肝臓内科
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、自覚症状が出にくい病気です。健康診断などで異常値が見受けられた際はお気兼ねなくご相談ください。
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脂肪肝とは、食べ過ぎや運動不足のために余った糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に過剰にたまって、脂肪が肝臓全体の30%以上を占めるようになった状態を言います。日本人における軽度の脂肪肝は、いわゆる肥満体型ではない、見た目がスリムな人にもみられます。たった2〜3kg体重が増えただけで肝臓に脂肪がたまる可能性があります。
肝臓は再生能力・代償能力に優れ、ダメージを受けても残った細胞が働き機能を維持します。肝臓には痛みなどの症状が出ることはあまりないので、肝臓に異常があっても気付かず、気付いたときには病気がかなり進んでいる場合があります。
B型肝炎ウイルス(HBV)による急性肝炎で、ウイルスは世界中に幅広く分布しています。世界でのHBV感染者の分布には大きな地域差があり、東南アジアやアフリカでは感染者が人口の8%を上回る国もあります。日本、ヨーロッパ、北米など感染者が人口の2%以下の国もあります。
感染して1~6ヶ月の潜伏期間を経て、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、褐色尿、黄疸などが出現します。尿の色は濃いウーロン茶様であり、黄疸はまず眼球結膜(目の白目の部分)が黄色くなり、その後皮膚も黄色みを帯びてきます。中には、激しい肝炎を起こして生命を維持できない状態(肝不全)となる、いわゆる劇症肝炎になることもあります。一般に、劇症化に至らない場合には、数週間で肝炎は極期を過ぎ、回復過程に入ります。
C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。感染している人の血液が他の人の血液の中に入ることで感染しますが、空気感染や経口感染はありません。現在わが国の感染者の多くは、C型肝炎ウイルスが発見される前の輸血や血液製剤、あるいは注射針が使い捨てになる前の注射針の使い回しなどで感染したものと考えられています。現在ではこのような原因で新たに感染することはほとんどありません。
現在新たに感染する患者さんの原因は、ピアスや入れ墨、覚せい剤などの回し打ち、あるいは不衛生な状態での鍼治療などです。一方、性交渉による感染や母から子への感染(母子感染)はごくまれとされています。
アルコール性肝障害はアルコールを常習的に飲んでいる人に発症する疾患です。日頃から飲酒量の多い人は、外見は痩せていても、肝臓に脂肪が蓄積され炎症を起こすことがあります。これらの患者が大量飲酒後には、重症のアルコール性肝障害を発症し、命に関わる重篤な状態になることがあります。また、治療せず放置すると、肝硬変や肝がんに進展していく場合もあります。
肝臓に慢性的に炎症が起こり、肝細胞の破壊と再生が繰り返されると徐々に線維化(肝臓にかさぶたの様な物質ができ、通常の機能が果たせない状態)が起こり、肝臓本来の細胞の構造が破壊されていきます。肝硬変がさらに進行すると、肝がんへまで進展する可能性が高くなり、最終的には肝不全(肝臓の機能が大きく低下し、役割を果たせなくなる状態)となり死に至る場合があります。また様々な合併症(症状)が起こり、治療が困難になっていきます。
がんは、正常な細胞の遺伝子が傷き、がん細胞に変わることで起こります。遺伝子が傷つく原因はさまざまです。肝臓がんの場合、約90%の原因が「B型肝炎」と「C型肝炎」と言われています。また最近は、「アルコール性肝障害」や「脂肪肝」など生活習慣病に起因する肝臓がんも増えています。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどありません。肝炎ウイルス検査を受けなかったために自分が肝炎にかかっていることを知らず、医療機関での定期的な検診や精密検査、他の病気の検査のときにたまたま肝がんが発見されることも少なからずあります。
肝がん特有の症状は少ないのですが、進行した場合に腹部のしこりや圧迫感、痛み、おなかが張った感じなどを訴える人もいます。がんが破裂すると腹部の激痛や血圧低下を起こします。
他には肝硬変に伴う症状として、食欲不振、だるさ、微熱、おなかが張った感じ、便秘・下痢などの便通異常、黄疸、尿の濃染、貧血、こむら返り、浮腫、皮下出血などがあります。肝硬変が進むと腹水が出現したり、アンモニアが代謝されずに貯留することによる肝性脳症という意識障害を起こすこともあります。また、肝硬変になると肝臓に血液を運ぶ門脈の流れが悪くなり、そのかわりに食道や胃などの静脈が腫れてこぶのようになります(食道・胃静脈瘤)。これらのこぶが破裂して(静脈瘤破裂)大量の吐血や下血が起こることもあります。静脈瘤破裂は時に致命的となるので、肝硬変と診断された場合には、定期的な内視鏡検査を受けることも大切です。